高級時計の価値と魅力を長持ちさせるためには、日々のケアを習慣づける事が大切です。
毎日のお手入れの参考になる基本的なポイントを以下の記事でご紹介しました。
毎日の習慣的なお手入れが一番大切ではあるのですが、時計のケアは奥が深く、素材やパーツ、汚れの程度によっても適切な方法が少し変わってきます。
時計のベルト部分は、機械特有の繊細さはないものの、汗や皮脂の影響を受けて汚れやすいパーツです。
素材によって特性が異なり、間違った方法でケアすると、サビやカビ、雑菌による悪臭などトラブルが発生する恐れもあるため、適切に対処しましょう。
こちらでは、ベルト部分のメンテナンスに焦点を当てて、ご自宅でできるケアの方法をご紹介します。
時計ベルトのメンテナンスに便利なアイテム
時計ベルトを集中的にケアするときは、時計ケースから外して単独で行った方が、より素材に適した丁寧なケアが可能です。
ベルトのセルフメンテナンスには、以下のアイテムが役立ちます。
クロス
セーム革やマイクロファイバーのクロスは、キメが細かくて柔らかく、時計やアクセサリーのお手入れに最適です。
ご自宅にメガネ用のクロスがあれば、代用しても問題ありません。
バネ棒外し
時計のケース部分とベルト部分は、バネ棒という棒状の小さなパーツでつながれています。
これを自分で外すため、バネ棒外しという道具を活用しましょう。
バネ棒外しを使ってケースとベルトを接続している金具を外す作業により、ベルト部分を取り外す事ができます。
慣れれば簡単な工程ですが、お持ちの時計にあった形状のバネ棒を選び、時計を傷つけないよう丁寧に行いましょう。
数種類の先端を持つバネ棒外しなら、色々なタイプと時計に使えて便利です。
BERGEON（ベルジョン）バネ棒外し 細／太／両Y先
明工舎製作所 バネ棒外し+替え先 Y・I 各1個セット
ブラシ
細かい隙間に付着した汚れやホコリなど、クロスでは取れにくい部分は、柔らかいブラシを使うと効果的です。
時計のケアのために作られた、柔らかく適度な弾力もある「豚毛のブラシ」もあります。
時計工具メーカーのものは、大きさや持ち手の長さなど、時計ユーザーにとって使いやすい配慮がなされています。
BERGEON （ベルジョン）豚毛ブラシ
明工舎豚毛ブラシ
身近なものでは、毛先が細くて柔らかい歯ブラシでも代用できます。
使用済みの歯ブラシを用いる場合は、清潔に洗浄して完全に乾かしてから使いましょう。
つまようじ
クロスやブラシでも落ちない、ピンポイントの汚れや詰まりには、木や竹のつまようじが便利です。
各部の接着部分やブレスレットの隙間などにたまった汚れは、つまようじを丁寧にかき出します。
綿棒
落ちにくい汚れには、水で湿らせた綿棒も活用できます。
強力な汚れはクリーナーをつけた上で綿棒で取り除くと効果的です。
中性洗剤・専用クリーナー・消臭スプレー
蓄積した汚れや頑固なシミがある場合、時々は中性洗剤や専用クリーナーを使って洗浄することもおすすめです。
汗や皮脂から臭いが気になる場合は、消臭スプレーも活用すると良いでしょう。
ベルトの素材別のケア方法
金属ブレスレット
ステンレスやプラチナ、チタン素材などの金属ブレスレットの汚れは、毎日クロスで拭いていても、バックル周りやコマの隙間に皮脂やホコリがたまってしまいます。
ブラシやつまようじ、綿棒などを使って、やさしく丁寧に汚れを取り除きましょう。
それでも細かい隙間に入り込んだ汚れや汗の塩分は取れにくく、蓄積したまま放っておくとサビや臭いの原因になります。
頑固な汚れは金属専用クリーナーで浮かせてから拭き取りましょう。
ドイツの老舗BECO社が扱う時計・ジュエリーのケア用品の専門ブランドから、メタルブレスレットクリーナーが販売されています。
HELI メタルブレスレットクリーナー
また、数ヶ月に一度は、全体を水洗いすることも大切です。
中性洗剤を薄めた水にブレスレットを入れてブラシで優しく磨き、隅々まで汚れを取り除きます。
洗浄後は、綺麗な水で丁寧にすすいでから、柔らかい布でおさえるように水気を取り、乾燥させてください。
海水やプールで泳いだ後は、塩分や塩素を落とすために、同様の手順で洗浄することをおすすめします。
レザーベルト
天然皮革は繊細な素材のため、使うほどに味が出る一方で劣化もしやすく、使用に注意が必要です。
レザーは透過性がありシミができやすいため、水に濡らしたり、化粧品や油分が触れないよう気を付けましょう。
また、過度の湿度や直射日光にさらすと、変形や変色、ひび割れを招く可能性があります。
着用によりどうしても汗や皮脂に触れるため、レザーベルトは消耗品であることは否めません。
でも出来るだけ長く品質を保持するために、着用後は吸水性の高いクロスで汗や水分を取ることを習慣づけましょう。
汚れが強い時は、固く絞った濡れ布巾で、こすらずそっと押さえるようにして汚れを布巾に吸着させるように落としてみてください。
それでも落ちない頑固な汚れや臭いが蓄積した場合は、洗浄を試みることもおすすめです。
ぬるま湯に少量の中性洗剤を入れて、レザーベルトを浸してもみ洗いしてください。
綺麗な水で洗剤を落とし切ったら、柔らかい乾いた布でベルトを押さえるように水分を吸収し、日陰で完全に乾燥させます。
また、レザーは染み込んだ汗や皮脂など臭いがつきやすいので、気になる場合には革ベルト専用の消臭スプレーを全体に吹きかけて、陰干しで乾燥させてください。
HELI 消臭スプレー革バンド用 30ml
ラバーベルト、シリコンベルト
ゴムやシリコン素材のベルトは、金属やレザーに比べて水などに強いですが、汗や皮脂が付着したまま放置すると繊維が弱ってしまいます。
直射日光も長時間当てると劣化するので、避けるようにしましょう。
着用後は、その都度キメ細かい布で汗や汚れを拭き取るよう心がけ、定期的に中性洗剤で洗浄することもおすすめです。
ぬるま湯に少量の中性洗剤を薄め、ベルトを浸して汚れをそっと落としてください。
その後は他のベルトと同様に、水で洗剤を落としたら柔らかい布で水分を取り、日陰で完全に乾燥させます。
まとめ
今回はベルト部分のメンテナンスに焦点を絞って、素材別のケア方法をご紹介しました。
ベルトの素材や色によっても時計の印象が変わるので、違うタイプのベルトを丁寧にケアして、良い状態に維持できたら、高級時計の楽しみが一層深まるかと思います。
★高級時計の基本的なお手入れ方法については、以下の記事にまとめているので、ぜひご参照くださいね。
